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知の愉しみ 知の力

2007年10月29日(月曜日)

間もなく文化の日。今週は昨年10月30日に逝去された白川静先生(文化勲章受章者)と渡部昇一先生の対談『知の愉しみ 知の力』をご紹介します。白川先生は漢字研究の第一人者として、漢字学三部作『字統』『字訓』『字通』(平凡社)の著作をはじめ偉大な業績を残されました。両碩学が仕事、学問、日本、人生について語りあった本書を読書の秋にお薦めします!

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2007年10月30日(火曜日)

対談は正味五時間半、休憩なしに行われた。途中一回お茶が出たが、それは対談の中断にはならなかった。その長い時間、九十一歳の白川先生の集中力は一瞬のゆるみもなかった。それは私にとってまことに驚くべき体験であった。【渡部昇一氏「おわりに」】より

2007年10月31日(水曜日)

渡部 どこかに静養にいらっしゃるとか、何日か温泉に行くとか、そういうことはなさらない? 白川 僕は、温泉に行ったことがないんです。 渡部 まとまったお休みというのはないわけですね。 白川 休んだらだめです。そこそこ見えるまでは気を緩めたらだめです。途中で「半分来たから、もう大丈夫」なんて思うたら絶対いかん。やっぱり九十九里をもって半ばとする(笑)。【白川流「仕事をする技術」を聴く】より

2007年11月01日(木曜日)

白川 『論語』を点検していくと…すべて分別できる。孔子の言葉というのは非常に真率と言いますか、素直であり、問題の要点を非常に簡潔にあらわしています。しかも、眺めていると、それがいろいろに響いてくるような言葉で答えている。 渡部 孔子が実際に言った言葉がわかるわけですか。 白川 ええ、わかります。僕は『論語』を読むと孔子様とお話ができる(笑)。【人間・孔子と話す】より

2007年11月02日(金曜日)

渡部 先生は孔子という人のどういうところがお好きですか。 白川 それはあんな低い身分で、何の特権的な条件もないのに、あれだけの弟子を擁して、その間に変わらない人間関係が築かれているというところでしょうな。…そして彼自身は、決して教祖になろうとしなかった。…あのような時代に、そのような人間的な生き方を貫いたということ、これはすごいことだと思います。【人間・孔子と話す】より

2007年11月03日(土曜日)

白川 古典教育を回復しなきゃいかんと思いますね。そういう伝統の中で、自分の未来が見えてくるわけですからね。 渡部 過去の最高の人が感じたことを、しかもその表現が的確な人に触れること自体が自分の中の可能性を引き出すことになるんですね。 白川 手本を見せずに「こうしなさい」と言ってもできない。自分自身を自己啓発できるような材料が与えられなければ、大人になりきれんのです。古典はその材料になる。【大人の学・漢文】より

2007年11月04日(日曜日)

白川先生の学問は、先生ご自身の人生コースがなければ出来上がらなかったものだと思う。そこに自助、立志、勤勉というような、人生の最も尊ぶべき美徳が顕現しているのである。…「これこそ私の理想像だ」と私は先生の姿を脳裏に刻み込んだ。…私もいつか、古稀を過ぎた教え子たちに、「君たちはまだまだ若いんだからしっかりやりたまえ」と言えるようになりたいものである。【渡部昇一氏「おわりに」】より

 
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