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佐藤一斎「重職心得箇条」を読む

2008年01月14日(月曜日)

今週は小泉元総理が全閣僚に薦めた書として話題を呼んだ『佐藤一斎「重職心得箇条」を読む』(安岡正篤・著)をご紹介します。本書は、江戸時代の儒者・佐藤一斎が、「上に立つ者の心得」としてまとめた17箇条の真髄を安岡正篤氏が解説風に著したもの。時あたかも国会審議の動向、政治家たちの言行に関心が高まる中で、本書が、リーダーたるものの“あるべき姿”を考えるためのテキストとして活用いただければ幸いです。

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2008年01月15日(火曜日)

「大臣の心得は、先ず諸有司の了簡を尽さしめて、是を公平に裁決する所其職なるべし」(第二条)。いろいろの役目の人物に「それはこうだ」「こうすればよい」ということを十分に議論させ、その議論を公平に裁決するところが重職たる者の職務であろうということです。(中略)いろいろの役目の者を駆使することが重職たるものの肝心のつとめだということです。

2008年01月16日(水曜日)

「平生嫌ひな人を能く用ゐると云ふ事こそ手際なり。此工夫あるべし」(第二条)。これは一斎先生の「重職心得箇条」の中での一つの名言といわれるものであります。どうも人間というものは好き嫌いがあって、いやだ嫌いだとなると、とかくその人を捨てるものであります。たとえ自分の気に入らなくても「できる」「これはよくやる」とか「これは正しい」「善い」ということになれば、たとえ嫌いな人間でもそれをよく用いる。才能を活用する。これが重職たるものの手際である。この工夫がなければならないということでもっともな意見です。

2008年01月17日(木曜日)

「重職たるもの、勤向繁多と云ふ口上は恥べき事なり」(第八条)。これは耳に痛い言葉です。よく活動している人は、忙しい忙しいということが口ぐせになるものです。しかし、いくら忙しくても仕事が忙しい、勤めが忙しいという口上は、重職としては言ってはならないことです。「心に有余あるに非れば、大事に心付かぬもの也」。心に余裕がないと、こせこせと小さな事に心を奪われて、大問題、大事に心づかない、気づかないということです。

2008年01月18日(金曜日)

「人を容るる気象と物を蓄る器量こそ誠に大臣の体と云ふべし」(第十一条)。大臣、重役というものは人間を包容しなければならん。そういう気象と物を蓄えること、それが大臣の本体といわなければならないということを言っているのでありまして、実によく重職たるべき者の急所を押さえております。

2008年01月19日(土曜日)

「手数を省く事肝要なり」(第十四条)。古人はなかなか隅に置けないところがあり役人という者はとかくむだが多い、馴れて省みなくなる。ごたごたと仕事を複雑にする。そこで省みて省かなければならないというので役所の名前に「省」の字をつけた。昔の人はよく考えたものです。

2008年01月20日(日曜日)

これを熟読され、折にふれ事に臨んで活用されますと、単なる知識でなく、大いに見識を養うことになり、また難問題に取り組まれる時は、見識のもう一つ上の胆識、すなわち実行力を身につけるうえに役立つことになります。重要な職務に当たりますと知識を持つだけでは何にもならないので、知識に基づいて批判する、判断する、つまり見識を立てて、そうしてこれを実行しなければなりません。このように、先哲、先賢の言葉や行い、言行を知る、学ぶ、行う、これを「活学」というゆえんです。

 
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